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日本初のフードセラピーレストラン
food therapy cafe MANA(フードセラピーカフェ マナ)

スリランカ アーユルヴェーダの旅②~トリートメント編~

スリランカには伝統的なアーユルヴェーダの医学と西洋医学の両方が人々の暮らしに根付いています。

医師の国家資格や病院も別なら、街中にある薬局もアスピリンなどの西洋医薬品Western Medecineを扱うところと、アーユルヴェーダの薬草の薬を扱う薬局が別々にあります。
この国では基本的に医療費が無料なので(国民であれば病院にかかるのは無料なのだそう)どちらの医療が値段が高いという感覚はなさそうでしたが、急な病気や早く治したい病気では西洋医学にかかり、体質による問題や健康維持のためにはアーユルヴェーダを使うというように、うまく使い分けているようです。
しかし急速な近代化で伝統医療が廃れないようにと、政府はアーユルヴェーダ省 MInistry of Indigenous Medicineを設け、医師の育成や薬草になる植物の保護など、国の知的財産であるアーユルヴェーダを守ることにかなり力を入れています。

アーユルヴェーダは人々が元気で長生きできるための知恵でもありますが、そもそもは人間の体と宇宙の関わりを理解し、社会の秩序や平和を守るための壮大な知恵の体系として生まれたものだそうです。そこには単に健康という概念にはおさまらない宇宙観・生命観があり、5000年の年月をかけて研究され、知識の体系として引き継がれてきています。
また医療の分野だけでなく、アーユルヴェーダ的な考え方が国の政治のあり方や人々の信念の軸になっている、と、ホテルのマネージャーが熱く話してくれました。

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                                     ホテルロビーにあるバティックの絵


ホテルでは毎朝朝食後に担当のドクターの診療を受け、3~4時間のトリートメントや飲み薬など1日のプログラムを作ってもらいます。
私の先生はこの道30年以上という超ベテランの女性ドクター。毎日色々な色のサリーを着ていて、ゆっくりと低い声で、体のことを話すときは時々怖くて、でもお母さんみたいにすごく優しくて、大好きでした。
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先生はほとんどの時間この診療室にいて、本を読んだり相談にきたゲストの話を聞いたりしています。

到着後初めての診療。
日本の東洋医学の病院と同じように、脈をとって、目や舌の色を見て、首や顔の肌を触って、血圧を測って、まったく読めないぐにゃぐにゃの文字(後にシンハラ語と判明。)でカルテを書き込んでいきます。

その後色々と質問されているだろうと待っていたら、「体の調子はどこがどう感じる?まずは何を改善したいですか?」と、逆に質問されて、一瞬考えこんでしまいました。えっと、私のこの頃の体調はどうなんだっけ・・・と。
普段の東京での生活では、体のことを仕事にしているせいもあり、できるだけ体にいいことをして疲れやストレスをためないようにとか、いいものを食べることに注意深くなったりとかということを当たり前にしていました。でもそれが習慣化していて、今ここにある自分の肉体とあろうことかしっかり向き合えていなかったことに気付かされた瞬間でした。

そこから、東京でのいつもの一日を振り返ってみて、普段自分の体について感じいることを思い出しながら話していくと、自分でもあまり意識していなかった体のストレスが次々と出てきました。雨の朝は目の奥が痛いことがある、寝不足だとお腹が張ってごはんが美味しくない、季節の変わり目は頭皮がかさかさしてしまう・・・などなど細かい不調まで、かなりつたない英語での説明でしたが、先生はそれを静かに聞いてくれ、私のお腹を触ったり、ふーっとため息をついたりしながら、初日の診療は1時間以上にも及びました。

先生と最初に交わしたこのやりとりのおかげで、滞在中自分の体の変化をとても注意深く感じることができました。

毎朝9時からの診療では、昨日から今日にかけて体に起きたことを先生に細かく報告し、先生は毎日同じような質問をします。「よく眠れた?」「朝起きてお腹の張りはなかった?」「トイレにはきちんといった?」不思議なことにたった5日間の、それもこんなにのんびりトリートメント三昧の日々の間にも体の変化は毎日起きていて、先生は「それじゃあ今日のマッサージにミルクライスを使いましょう」とか「夕食のときにキングパイナップルのお茶を出しましょう。」などと細かに対応してくれました。

毎日の問診で印象的だったのは、先生がとても排泄について念入りに聞くことです。アーユルウェーダでは、体に未消化物や毒素がたまっていることが病気の原因と考えます。便秘なんてもってのほか!1日2回の排泄が健康状態だということです。
日本でも最近デトックスという言葉がブームですが、腸をきれいにして、悪いものをため込まないことが大切なんだなと、改めて確認することができました。


ショートステイのゲストにされるトリートメントは、薬草で作った薬と、ハーブオイルマッサージが基本。

薬は、私の体質と体調に合わせた飲み薬が毎日数種類用意されます。
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近くにあるハーブ園でとってきたばかりの薬草などイロイロをはちみつと混ぜた真っ黒のお薬は、日本だとちょっとあり得ない苦さと強烈な植物の匂いでしたが、飲むとお腹がかーっと熱くなって、とてもとても効きそうでした。

ホテルの中には薬を作るお部屋もあります。中に入らせてもらうと、はかりにスプーンに、はちみつやスパイスが並びまるでキッチンのよう。
「アーユルヴェーダの薬は食べ物から作っているから」と、私の薬を作ってくれているおばさんが言っていました。
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滞在中私が受けたトリートメントはヘッドマッサージ、全身オイルマッサージ、薬草湿布、薬草オイルでの目の洗浄、ハーバルバスなどなど。
マッサージといっても、その一番の目的は体をもんだり押したりすることではなく、植物のエッセンスを肌に浸透させること。とにかく全身にしたたるほどのオイルを塗りたくり、揉みこみます。
アロマセラピーのようなきれいな澄んだ香りというよりもっとダイナミック森の中の香り、木の皮とか落ち葉に覆われた湿った土のような香りのするオイルです。このオイルも周りにあるガーデンからとってきた薬草を抽出したてのものだそう。浸透しやすいようにお鍋で温めてから塗られていきます。

2日目は、オイルマッサージのあとミルクとお米のお粥のマッサージをしてもらいました!
さっき朝ごはんで食べたのと同じ赤いお米(ここでは白米ではなく原種の赤いお米Red Riceを食べます)を牛乳とはちみつとギーで煮て、ガーゼにくるんで全身をマッサージします。
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お米とミルクの甘い匂い、これはもう完全に食べ物です。
でもそれは当たり前、アーユルヴェーダではすべての治療は、薬でもマッサージでも、食べ物を材料にするのだそうです。


日本トリートメントやマッサージというと、どうしてもリラックスや美しくなるためというイメージがあります。でもここでは、マッサージは間違いなく「治療」という医療の分野としてとらえられていました。
実際私がいる間に滞在していたほかのゲストの半数以上は、糖尿病や癌など、重い病気を持った人たちでした。彼らは手術や薬ではなく、アーユルヴェーダのハーブトリートメントや食事療法で病気を治そうと、1ヶ月以上も滞在していました。
私自身、自分の体の変化をよく観察していたからということもあり、毎日のマッサージで明らかに体調が変わっていき、また種類の違うマッサージによって効果の違いなども感じることができました。

ここに来るまで、アーユルヴェーダというと滴るオイルのマッサージと食事療法が中心だと思っていました。
でもその治療の核になるのは様々な薬草を駆使した薬草学、主に飲み薬であることが次第にわかってきました。マッサージはその薬草を体に取り入れるための手段の一つ、食事は治療というよりは病気にならないための土台作りという考え方です。

小さな街にあるアーユルヴェーダ薬局をのぞいてみました。本当にたくさんの種類の乾燥ハーブや植物が並び、人々は念入りにそのリストを見たり量ったり。そのほとんどがお年寄りだったり目が片方つぶれていたり、体に病気を持った人でした。日本でいうハーブティなんかとは全然違う、もっと生々しくてパワフルなアーユルヴェーダの姿を垣間見た一瞬でした。
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アーユルヴェーダの世界が持つ奥深いハーブの世界。スリランカやインドにしかない植物もたくさんあるため、まさにこの地でしか見られない新しいものでした。と同時に、今なお人々の生活の中に生きているリアルなアーユルヴェーダを少し感じることができたような気がします。

次回は、お待たせしました。この旅のメインテーマだった「アーユルヴェーダな食事」編。
口にするものすべてが新しくて美味しくて、気付けば食べ物の写真は200枚以上にもなっていました。私山口阿弥もシェフにお願いしてホテルのキッチンに潜入。最終日のゲストのディナー作りに参加させてもらいました!
そんな美味しいご報告をします、お楽しみに。

                                       フードセラピスト 山口阿弥

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food therapy cafe MANA
(神谷町 お野菜料理レストラン)
OPEN:
月~金
lunch  11:30 ~ 14:30(L.O.14:00)
Dinner 18:00 ~ 23:00(L.O.22:00)
 土
lunch  11:30 ~ 14:30(L.O.14:00)
Dinner 18:00 ~ 22:00(L.O.21:00)

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東京都港区虎ノ門3-20-4
クレジデンス神谷町1階
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